R60708-0711 高大連携講座・地域連携講座(未来探究講座)7月)
令和6年7月8日(月)から11日(木)の四日間、三者面談期間の午後1:45~2:55に、高大連携講座・地域連携講座(未来探究講座)を11講座実施しました(うち2講座はオンラインで実施しました)。当日は、生徒だけでなく一部の保護者の方にもご覧いただきました。
目的
- 【高大連携講座】
- 大学で取り組まれている研究や学習の内容について学ぶことで、その分野に関する興味・関心を高め、将来の進路選択に役立てる。
- 【地域連携講座】
- 地域で活躍する方から、さまざまなデータに基づいて地域の現状について学ぶことで、地域に関する興味・関心を高めるとともに、地域が抱える課題の解決に向けてどのように取り組むことができるのか、解決方法を創造する力を養う機会とする。
対象
附属中学生全員、高校1年生全員、高校2・3年生希望者
生徒による講座の選定
昨年度より、附属中学校の総合的な学習の時間の一環である「未来探究講座」として位置付けられ、附属中学生が(地域連携講座と合わせて)1講座以上受講しています(高校1年生も同様)。
本講座は、「自分の学びは、自分で作る!」と題して、生徒組織の中に作られた探究推進委員会の生徒と附属中学校3年生希望者によって、下記のような流れで受講する講座が選ばれました。
活動日 | 内容 | 参加者 |
---|---|---|
5/22 | 高大連携講座・地域連携講座(7月)の選定に関する希望調査 | 探究推進委員、附中希望者 |
5/28 | 希望調査表提出日 | |
5/31 | 選定に関する事前打合せ | 探究推進委員代表生徒 |
6/3 | 高大連携講座・地域連携講座(7月)講座の選定 | 探究推進委員、附中希望者 |
6/3~ | 教員による大学等への依頼 |
内容
月日 | 講義テーマ | 講師 | 参加者 |
---|---|---|---|
7月8日(月) | お金の心理学(オンライン) | 東北公益文科大学公益学部 講師 渡辺 伸子 氏 | 102人 |
データサイエンスを学ぶと何ができるようになるか | 東北学院大学情報学部 准教授 松本 章代 氏 | 26人 | |
寄生虫の世界 | 岩手大学農学部 准教授 関 まどか 氏 | 106人 | |
岩手からの上場【地域連携】 | 株式会社GRCS 代表取締役社長 佐々木 慈和 氏 | 22人 | |
7月9日(火) | 見る・聞くを上手に行うためには | 東北生活文化大学家政学部 教授 植松 公威 氏 | 88人 |
万葉集における「恋」(オンライン) | 東北学院大学文学部 教授 木村 純二 氏 | 63人 | |
7月10日(水) | メカトロニクスと医療福祉への応用 | 東北工業大学工学部 教授 水野 文雄 氏 | 41人 |
有理数による実数の近似 | 東北学院大学情報学部 教授 佐藤 篤 氏 | 27人 | |
環境制御ってどうするの?【地域連携】 | 岩手県農業研究センター 上席専門研究員 藤尾 拓也 氏 | 31人 | |
7月11日(木) | 福祉×建築が生み出す未来 | 東北工業大学ライフデザイン学部 准教授 谷本 裕香子 氏 | 20人 |
束稲山麓地域の災害リスク分散型土地利用システム【地域連携】 | 束稲山麓地域農業遺産推進協議会 事務局員 安倍 侑野 氏 | 7人 |
講義の様子と生徒の声
- 「お金の心理学」
- お金の購買行動について、自分に当てはまる面も多くあったので驚いた。もともと心理学に興味はあったが、「お金」という面に焦点を当てて考えて見るのも面白かった。また、お金への不安感が精神的な影響も与えるということも興味深かった。お金の余裕は心の余裕ということを実感した。世間一般的に「優しい」と思われている人と貯金の関係も気になった。 将来は経済学などについて学んでいきたいと思っているので、経済と心理の関係も考えていきたい。自分にあったとても役立つ講座だった。(中3)
- 私は今回、この講座の「心理学」というワードに惹かれて受講を決めました。将来は心理学を学んで、それを生かした職業に就きたいと考えていたけど、講座を聞いて、心理学のみを生かした仕事は少ないということを知りました。しかし、他の分野と心理学を組み合わせることで、可能性が広がることもわかりました。将来は心理学を他の分野で生かすような職業も視野に入れようと思える講座でした。(高1)
- 「データサイエンスを学ぶと何ができるようになるか」
- 人工知能の歴史を見ることで、人工知能が広まるまでの過程を理解することができた。また、データサイエンスという新たな学問が、ビッグデータを人工知能を利用することで社会の問題解決に役立つものであることが分かった。今後さらにAIが広まっていくと思うが、まずは人間が学習して上手に活用できるデータサイエンティストになっていくことが大切だと感じた。AIがもたらす未来の変化への理解を深めることで、今後の社会の生き方を考えることができた。(中1)
- AIを活用すれば地域の課題を明確にし、解決することができるということを学んだ。デジタル社会の今にとても興味深い内容でした。(高1)
- 「寄生虫の世界」
- 実験によって肝蛭の特徴を正確に捉えられることがすごいと感じました。私に耳馴染みのない言葉ばかりでしたが、映像や実験を見ていくうちに寄生虫の特徴が明確化してきて、実験面白そう!となりました。とてもためになるとともに、楽しい講座でした!(中2)
- 先生が経歴のお話をされる際に、「好きだけじゃできない研究がある」と仰っていたことを、私の目標としている職業と当てはめて考えた。将来職業を選ぶ際、好きを越えた所にある必然性のようなものを見出す必要があると思った。寄生虫とSDGsの関係や、新たな研究が現在も進められていることを知り、視野を広げることができた。(高1)
- 「岩手からの上場」
- 講師の方がアメリカの大学を卒業したとおっしゃっていたので、失敗をあまりしてこなかった人なんだなと思ったけど、挫折を繰り返すことが成功へ繋がっていく一歩になるということがわかったので悩んだらまず挑戦しようと思った。(高1)
- 田舎であるからこその、時間や常識のギャップを利用してニーズを捉えていくことは自分の中の新しい価値観に繋がったと思いました。私は、教育に従事したいと思ってきた中で、どうしても変えることのできない都会と田舎の格差を感じ、憂いてきたのですが、それこそを武器にするという考えこそが、岩手が目指す学生の育成に繋がると思いました。(高1)
- 「見る・聞くを上手に行うためには」
- 見ることや聞くことを上手に行うためにはぼんやり聞くのではなく、疑問を持ち予想を立てることが大事だと教わった。学ぶことは問題解決の過程であり、深めていくものだとわかった。授業を受けるときに一生の中で一回しかこれを聞くチャンスがない!と思い意欲的に授業に取り組んでいきたいと感じた。(中2)
- 人は、聞いているようで実は聞いていないという場合があることを知りました。確かに、日常生活を振り返ってみると、聞こえてはいるけど理解はしていないということがあるな、と気がつきました。そして、それを改善するためには、聞くという行為の際に疑問や仮説をもつことが重要だということも学びました。これからは、問題意識を持って物事と向き合っていきたいです。(高1)
- 「万葉集における『恋』」
- 恋と愛の違い、日本人の心と恋の関係、それらを踏まえて見る万葉集における恋というのはどのようなことが表現されているのかを学んだ。特に恋の意味を踏まえたうえで昔の日本人の恋の条件を考えるところが面白かった。(中3)
- 万葉集における「恋」がどのような感情によって起こるのかが様々な和歌を読むことによって分かり、確証されていくことが面白かったです。それらが仏教へ繋がるところも面白く、もっと授業を受けたいと思いました。私はハッピーな恋愛系の物語・歌より、両片思いや叶わぬものに感動を覚えるので、奈良時代の感覚と似ているのかもな、と思いました。(高1)
- 「メカトロニクスと医療福祉への応用」
- 特に遠隔手術ロボットの「ダビンチ」のシステムが印象深かった。現状では主要な医療機関でしか導入されてないため、ロボット技術に関する医療・福祉に応用するときの問題を早急に解決することが大切だと感じた。(中3)
- 自分の興味のある分野だったので、進路に関しての考えや視野が広がった。実際に研究で製作した機械について詳しく教えていただいて、自分たちの探究に繋げたり、開発の楽しさを感じることができた。(高1)
- 「有理数による実数の近似」
- 初めて聞く言葉や計算過程を知ることができた。また、有理数という数について知れた。連分数を使うことで近似したい実数の近似ができるため、3.14などの円周率の近似についても利用できることを知れた。普段の数学ではできない面白さがあって、とても良い講座だった。(中2)
- ユークリッドの互除法の計算自体は以前見たことがありましたが,それに図がついて,視覚的理解が深まりました。中3で乗法公式を学習したときに,図を使ったことを思い出して,数式を視覚的に理解することが大切だと感じました。連分数は難しかったのですが,もっと知りたいと思いました。(高1)
- 「環境制御ってどうするの?」
- 国内や岩手の生産方法や環境制御に関わって、農家さんが工夫していることを知りたかったので、 実際の機械の写真や複合環境制御の導入効果などのグラフを見せてもらえて、深く学べたので良かったです。(中2)
- 今回の講座では農業を取り巻く環境の課題をたくさん知ることができました。印象に残ったことは、作物を育てる施設よりも、育てる環境を整える方が収量が上がることです。農業は成果が出るまで長い時間がかかることもあるそうなので、長い目で見れば環境の方が大事なのもなるほどと思いました。(高1)
- 「福祉×建築が生み出す未来」
- 私の夢が建築士関係の仕事なので今回の講義を聞くことができたのはとても嬉しい。老人施設には工夫があまりされていないと思っていたがヨーロッパなどでは階によって部屋の色を変えるという工夫が行われていることを知った。また日本でも多世帯との交流ができる施設があることも知ることができた。わたしたちが歳をとったらこんな施設に行きたいと思った。(中2)
- とにかく、知らなかったことや知っていたけど間違った考えを改められるようなことが沢山聞けてとても有意義な時間でした!日本の障がい者用の施設は生活云々より安全性を重視している傾向があり、私も祖母の老人ホームを探しているときに「テラスは自由に使えるようにしてもいいんじゃないかなぁ」と思ったことがありました。何もかも安全性を最優先にするのではなく、ちょっと危ないぐらいでも自由に生活が出来る場所が日本には必要なのだろうと考えさせられるいい講義でした。(高1)
- 「束稲山麓地域の災害リスク分散型土地利用」
- 今までは、特に地域のことを深く考えたことがなかったので、地域のことを考えられる良い機会になりました。自分が参加してきたものの中にも、自分のためだけでなく、地域のためにもなれるということもあると知り、嬉しかったでです。(中1)
- 地域の知らなかった魅力・特徴を知ることができた。また、束稲山地独特のリスク分散の取り組みはとても興味深く、探究活動などで更に調べてみたいと感じた。地域創生のため、自分にも出来ることを考え、行動したい。(高1)