R60926-28 最先端理数研修(高2理数科)
令和6年9月26日(木)~28日(土)に、高校2年生理数科27名が最先端理数研修に参加しました。
目的
東日本大震災による災害とその後に起きた原子力災害について学び、最先端の核融合研究施設での研究内容を直接体験することで、エネルギーに関する興味・関心を高めるとともに、進路決定の一助とする。また、高校生理科研究発表会での発表を通じて、研究内容の深化を図る。
研修先
- 【9/26(木)午後】東日本大震災・原子力災害伝承館(福島県双葉郡二葉町)
- 【9/27(金)午前】原子力科学館(茨城県那珂郡東海村)
- 【9/27(金)午後】那珂フュージョン科学技術研究所(茨城県那珂市向山)
- 【9/28(土)午前】千葉大学西千葉キャンパス(千葉県千葉市)
研修内容
- 東日本大震災による災害とその後に起きた原子力災害について学ぶ。
- 放射線や原子力について基礎的な知識を学び、未来のエネルギーと社会との関わりについて考える。
- 核融合発電の実現に向けた最先端の研究について物理・工学施設の見学及び研究者との交流
- 高校生理科研究発表会(千葉大学主催)でのポスター発表及び質疑応答を通じて、研究内容の深化を図る。
研修の様子
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生徒の声
研修を通してどのようなことを学びましたか。
- 原子力関係の施設見学を通して、事故の影響は強く残っていることを感じた。岩手とは違う形での被災をした地域を実際に訪れ、そこの人たちにしか分からない思いが展示されていたり、話を聞くことができたりした。原子力の負の面を感じ、原子力利用に慎重になるべきだという考えが出てきた一方で、科学館では原子力利用のことを学び、その大きなメリットを失うのは痛いと思った。使い方によると言われれば確かにそうだが、いい所だけを使っていたら、いつか事故の被害を忘れてしまうことが1番こわいと感じた。エネルギー改革が進む中で原子力発電に関する議論は捨てられないものだと思うので、今回実際に両方の側面を見学できたことは大きいと思った。
- 学校で学ぶ理数科目の内容がどう社会にいかされているのかを学ぶことができた。普段勉強していて社会の何につながるのか分からないところも多々あるが、この研修で、学校で学んだことと社会の関わりを強く感じることができた。
- 原子力事故がなぜ起こったのかを科学的に知る機会となり、核をなんとなく危ないものと捉えなくなったことが学びだと感じた。材料の製法のマニュアルを無視したり、事故が起こりそうだと言われても対処しなかったことなどが原因に挙げられていることを知れた。
- ネットで調べるだけでは多くを知ることができないが、色々なところへ行くことで自分の目で見て感じ、物事に対して深く知ることができ、興味・関心が湧いた。自分で選んで研修に行くと、自分の興味・関心のあるものしか選ばないが、みんなで行くことでいつもと違うことについて見聞を広めることができた。また、対面で話を聞くとオンラインでやり取りをするよりもレスポンスが早いので難しいこと(ITERなど)の理解が深まりました。
高校生理科発表会の発表を通して得られたことは何ですか。
- 他の学校の生徒の発表は規模が大きいなと感じました。自分ではどういう実験が必要なのか、対象のものをどうやって準備するのかなど思いつかないような題材の研究をしていて面白かった。
- 研究のレベルの高さに驚いた。正確なデータをとるために、実験方法を試行錯誤したり、着眼点を変えているところがとても参考になった。
- 研究の質が高くて、自発的に研究をしている様子が見られた。実験の回数を積んでいて、データ数が多くて研究の信頼性があった。他校の発表を聞けて良かった。
- 日常生活と関連付けた研究内容がとても多く、中間発表会と大きく異なると感じた。質問も研究内容を突いてくるものが多く、質問の仕方も答え方も上手だと感じた。
- 質問の内容がより具体的で、質問するだけではなく、アドバイスも加えて話していただいたところ。指摘するだけではなく、今後どうすればより社会生活に生かせるような研究になるのかを考えてアドバイスもくださった。とてもありがたかった。
- 校内よりもレベルの高い研究を見ることができ、内容もそうだが、良いと思う発表の仕方も沢山あった。見る方もレベルが高く、校内よりも議論が発展した。私たちの研究にも使えそうなものも多くあった。
感想
- 今回の研修を通して、事故などが起きたときになぜ起こったのかという視点を持つこと、危険性が示唆されているならすぐに対処することが事故の発生・再発を防ぐために重要だと学びました。また、伝承館では被害の話が中心で、科学館や研究所では新しい技術の話が中心で、新しい技術を開発するのもとても重要だけど、同時に技術以外にも人の意識や地域や国の対応などの改善にも積極的に取り組む必要があると感じた。科学は生活に豊かさをもたらしてくれるけれど、使い方を細やかに考えないと危険なものになってしまうので、原子力の恩恵を受けたいのなら、研究を推進していくことが大切だと感じた。
- とても充実した3日間だった。1日目は原子力発電とともに生活を営んできた福島の方々の想いと水素爆発の恐ろしさを実感した。たくさんの人のうめき声を聞きながらも避難しなければいけないという状態を経験した福島の方々の想いを簡単に理解することは難しい。しかし、寄り添うことやこれからをともに生き、考えることはできると思う。原子力をただ恐ろしく思うのではなく、安全性をどうしていくかとか、新しいエネルギーをどう発掘していくかなどを考えていきたいと感じた。2日目の原子力科学館では原子力が身近な生活にどう生かされているのかを教えていただいた。宝石に放射線をあてると色が変わるということを初めて知った。楽しみながら学ぶことができる場所で原子の性質を詳しく知った。フュージュン研究所では核融合を利用した新しいエネルギーの研究が、自分が思っているよりも進められていたことに驚いた。また、説明のときに提示していただいたポスターを見て、見やすいポスターの作り方と説明の方法を学んだ。そして、3日目の発表。自分たちの未熟さを感じたと同時に、学びとなる発表だった。細かいところまで考えられていなかったことを痛感し、他の学校のレベルの高さも身にしみて理解できた。質問する立場になったときは、ただ聞くのではなく、アドバイスという感じで、その発表がより良くなるために質問をしようと思った。毎年全員が発表した方が良いと思った。
- はじめに、この研修は思っていた何倍も自分にとって意義のあるものとなった。多くの視点で「原子力」について学び考えた1、2日目。自分たちがやってきた研究を千葉という場で発表した3日目。どの研修先でも行ってよかったと思える発見があった。 1日目の福島では、東日本大震災と原発事故について現地の様子と共に話を聞き、理解を深めた。小・中学校のときの授業では直接的な映像を見ることがなく、テレビやスマホでそのような映像が流れてきても知るのが怖いというか、自分の中で「見ないでおこう」と目をそらすことがほとんどだった。この研修で目をそらさずにたくさんの資料を見て、特に小学生の作文に「原発は未来だ」と書かれていたことが印象に残った。地震が起きなければ、地元住民の希望そのものであったことを考えると、苦しくなった。 2日目の茨城では、原子力の良い面を知り、使いようでこんなにも差があるのかと驚いた。 どの年代が見てもわかりやすい楽しい施設ではあったが、やはり心のどこかでは1日目の福島で感じたことが思いだされ、ただ楽しく理解できた訳ではなかった。また那珂フェージョン科学技術研究所では高度で先進的な内容を学んだ。自分はそのような取り組みをしている施設があることを全く知らなかったのもあり、こんなに面白いことをやっている人たちがいたんだと関心を持った。 3日目の千葉では研究を発表し、これからの研究を進めていく上でもよい場となった。なぜ今まで実験がうまくいかなかったのかが分かり、今すぐにでも研究の続きをしたいと思える良い刺激となった。様々な分野の研究も聞けて面白い学びがあった。