R60625 フィールドワークⅠ

令和6年6月25日(火)に、1学年普通・理数科185名が、高志探究ⅠのフィールドワークⅠとして午前の野外巡検と午後の協調学習に取り組みました。

目的

地域の特徴的な自然・資源・産業・文化などに関わり、自然科学的・社会科学的なものの見方・考え方を働かせ、現地で人々と交流する中で情報を収集する体験的な活動を通して、多角的な視点から課題を発見し科学的に課題を解決しようとする意識を高める。

フィールドワークⅠまでの流れ

高志探究Ⅰでは、フィールドワークⅠの事前学習として、これまで4つのプログラムに取り組んできました。

  • 「地域課題について調べる(2時間)」
    • ①入学時課題で取り上げたテーマについて、現在問題になっていることに関するキーワードを記録し、それらが一関地域の課題とどのようにつながっているのか、ICT 機器を用いて検索して調べる方法を学ぶ。またその過程を通して、情報を文献リストに記録することを学ぶ。
    • ②インターネットを活用して得られる情報をもとに、自分の関心のあるテーマが一関地域の課題とどのようにつながっているのか理解に努め、インターネットで十分な情報が得られるのか、不足する場合、他にどのような手段で情報を得る必要があるのか、協働的な活動を通して考える。
  • 「地域課題について深める(思考ツールの活用実習)(2時間)」
    • ①前回の「調べる」ステップを踏まえ、探究の過程の中で課題を深めることの大切さを理解する。
    • ②自分が取り上げた地域課題についての理解を広げて整理する方法を学び、協働的な学習を通して、課題を深める過程を経験する。
  • 「地域課題に関するデータ分析・考察実習『ビッグデータを活用して地域の現状を分析する』(2時間)」
    • ①官民のビックデータを無料で活用できる「地域経済分析システム(RESAS)」の基本的な使い方を理解し、データから地域の現状や他地域との違いを分析する方法を学ぶ。
    • ②地方創生政策アイデアコンテストの受賞内容を参照しながら、地域の課題や課題解決に向けた視点や考え方、使用データについて学ぶとともに、科学的な見方・考え方について理解する。
  • 「地域に関する講演会(2時間)」
    • 地域に関する課題と課題解決に向けた一関市の取り組みに関する講演を通して、多角的な視点で地域を理解するとともに、新たに地域に関する課題を発見する。

野外巡検(午前)

野外巡検は、高校1年生で学習する内容と連動し、教科横断的な内容となっています。生徒は、以下、5コースから希望するものを選んで参加しました。

【野外巡検のコースと内容】

コース・キーワード【関連する科目・単元】場所、内容
A「地域・生活環境」【保健体育「環境衛生に関わる活動」p116~119】
・場所:一関清掃センターニッコー・ファインメック株式会社
・内容:地域のリサイクル施設とSDGsを目指す企業を訪問し、行政と企業のそれぞれの視点から資源ごみと再利用を行う技術について知り、それぞれの取り組みの意義を学ぶ。
B「食生活・栄養・地域資源」【家庭基礎「食生活と健康」p.94~95】
・場所:株式会社デクノボンズ
・内容:講義から、五大栄養素「脂質」の科学的性質や、健康と食生活との関係について学ぶ。地域で栽培されている菜種から昔ながらの製法での採油を復活させた、菜種油の製造工場の見学と地域資源としての取り組みを学ぶ。
C「地震・防災」【地理総合「さまざまな自然災害と防災」p.194~217】
・場所:祭畤大橋周辺
・内容: 岩手内陸地震のメカニズムと実際の被害について、ハザードマップの活用について学ぶ。
・ガイド:茂庭隆彦 氏(本校教諭)、藤原夏菜香 氏(教育実習生)
D「治水・防災」【地理総合「さまざまな自然災害と防災」p.194~217】
国土交通省一関防災センター 北上川学習交流館(あいぽーと)
・内容:過去の水害と北上川流域の気象の関係、一関遊水地の役割・運用、建設に至る過程、大雨時の情報収集方法とハザードマップの活用について学ぶ。
E「観光・関係人口」・場所:猊鼻渓(有限会社げいび観光センター
・内容:関係人口と一関、観光を切り口としたインバウンド誘客について学ぶ。
・講師:株式会社イーハトーブ東北 松本数馬 氏

A「地域・生活環境」コース

【野外巡検の様子】

B「食生活・栄養・地域資源」コース

C「地震・防災」コース

D「治水・防災」コース

E「観光・関係人口」コース

協調学習(午後)

また午後は、協調学習形式で、フィールドワークで学習した内容を共有し、一関地域の課題を新たに見つけ、科学的に解決する方法を考えました。

具体的には、コースごとに分かれ、各自巡検で学習した内容について発表できるようレポートにまとめました(5校時)。その後、各コースから1名ずつ集まり、グループを作って、グループごとに個人で野外巡検で学習した内容について発表しました(6校時)。最後はグループごとに、一関地域の課題を一つ取り上げ、学んだ視点を活かして解決方法について考え、模造紙にまとめました(7校時)。

【午後の取り組みの様子】

【生徒の感想】

  • (A「地域・生活環境」コース)
    • 中学のときにフィールドワークをやったが質が全く違うと思った。コース別だったためその分野に関して深く繋がりがある事柄を意識して話を聞くことができた。2つの施設に行ったため比較して課題を見つけることができた。
    • とても充実したフィールドワークでした!ニッコーファインメックの破砕場などの見学が一番おもしろかったです! 清掃センターもですがごみの流れを図だったり実際に見たりしながら知られることがとても分かりやすく興味が沸きました!
  • (B「食生活・栄養・地域資源」コース)
    • 今回のフィールドワークで一番印象深かったのは、農業と観光業を結びつけるアイディアだ。ヒマワリの種の生産を行うヒマワリ畑を、北上市の展勝地や、温泉付近などにつくることで、ヒマワリ畑を目当てに来る観光客も期待できるというものだ。わたしは北上市出身で、展勝地付近に住んでいる。展勝地の観光客のほとんどは春の桜目当ての人で、それ以外の季節はあまり観光客が来ないなと思っていた。しかし、ヒマワリ畑ができることで、夏の観光客も期待できるなと嬉しくなった。このようなアイディアはとても地域のためになるので、もっと進めてほしいなと思う。
  • (C「地震・防災」コース)
    • 頭の中の知識と、実際に見た地殻変動を照らし合わせてより深い理解につなげることができた。具体的な課題を見出すには、地震の構造や一関の土地の特徴など専門的な知識が必要だと分かった。災害対策は命に関わる重要なことなので、市民全員が真剣に取り組んでいかなければならないと思った。
    • 文系に進もうと考えていたため、地学と関係があるこのコースを選びました。初めは本当にこのコースが自分に向いていたのか不安が大きくありましたが、講師の茂庭先生と教育実習生の藤原先生の丁寧なガイドのおかげで楽しく地学についての知識を深めることができました。そしてさらに深めて勉強していきたいという意欲が深まりました。
  • (D「治水・防災」コース)
    • 地理の学習と関連付けながら講話を聞くことや見学することができよかった。 災害を防ぎ、被害を最小限にする大切さを地権者の方の講話から学んだ。
    • 今回のフィールドワークで北上川の洪水の歴史を詳しく知ることができた。また、ダムに関する知識も得ることができ、これから生かしてかければいいなと思った。
    • 話を聞いてとても良い経験になりました。一関市だけではなく、他の地域で水害に対するどのような対策をしているのか知りたいと思いました。
  • (E「観光・関係人口」コース)
    • 今回のフィールドワークを通して一言で「観光」と言っても様々な面の人が関わっていて、一方向から見るのではなく多面的に見ることの大切さを学んだ。一関市に来る外国人観光客は段々増えている。人口減少によって減った消費額をどのようにしてまかなうのか、観光地の売上の差をどのようにしてうめるのか、これからを担う自分たちが考えていく必要があると改めて感じた。
    • 一関の抱える大きな問題である、人口減少に対する理解をより深め、一見あまり関係なさそうな観光の視点からも解決に導くことができると視点が広がった。自分も多角的な視点を持って様々な問題解決に貢献していきたいと思う。
  • 全体を通して
    • 実際に自分の目で見て、直接専門の方から教えていただいたことで新たな発見をすることができました。今回見つけた課題はそのままにせずに自分にできることは実践して地域のためにできることを積極的に行っていきたいです。また、グループワークでは自分の訪れていない場所での情報や課題を知ることができたので良かったです。
    • 実際に一関市に住んでいても知らないことについて学べたので地域への理解が深まった。フィールドワークを通して見つけた地域の課題を解決するために自分には何ができるのか考えたい。また、疑問に思ったことや他分野との関連について調べたい。

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