R5 高志探究Ⅰ フィールドワークⅠ(高1)
6月27日(火)に、1学年普通・理数科187名が、「地域の特徴的な自然・資源・産業・文化などに関わり、自然科学的・社会科学的なものの見方・考え方を働かせ、現地で人々と交流する中で情報を収集する体験的な活動を通して、多角的な視点から課題を発見し科学的に課題を解決しようとする意識を高めること」を目的に、午前の野外巡検と午後の協調学習に取り組みました。
野外巡検は、高校1年生で学習する内容と連動し、教科横断的な内容となっています。生徒は、以下、5コースから希望するものを選んで参加しました。
また午後は、協調学習形式で、フィールドワークで学習した内容を共有し、一関地域の課題を新たに見つけ、科学的に解決する方法を考えました。
具体的には、コースごとに分かれ、各自巡検で学習した内容について発表できるようレポートにまとめました(5校時)。その後、各コースから1名ずつ集まり、グループを作って、グループごとに個人で野外巡検で学習した内容について発表しました(6校時)。最後はグループごとに、一関地域の課題を一つ取り上げ、学んだ視点を活かして解決方法について考え、模造紙にまとめました(7校時)。
【野外巡検のコースと内容】
コース・キーワード | 【関連する科目・単元】場所、内容 |
A「地域・生活環境」 | 【保健体育「環境衛生に関わる活動」p116~119】 ・場所:一関清掃センター ・内容:ごみ焼却施設(映像・パネル)、リサイクル施設、し尿処理施設の見学し、ごみの排出量や処理費用、また設備維持費や管理費の推移について学習する。 |
B「食生活・栄養・地域資源」 | 【家庭基礎「食生活と健康」p.94~95】 ・場所:(株)デクノボンズ ・内容:管理栄養士の方による講義から、五大栄養素「脂質」の科学的性質や、健康と食生活との関係について学ぶ。また地域で栽培されている菜種から昔ながらの製法での採油を復活させた、菜種油の製造工場の見学と地域資源としての取り組みについて学ぶ。 ・講師:臼井名津子 氏 |
C「地震・防災」 | 【地理総合「さまざまな自然災害と防災」p.194~217】 ・場所:祭畤大橋周辺、衣川 ・内容: 東北地方の形成と地質について、岩手内陸地震のメカニズムと実際の被害について、他 ・ガイド:茂庭隆彦 氏(本校教諭) |
D「治水・防災」 | 【地理総合「さまざまな自然災害と防災」p.194~217】 ・北上川交流館(あいぽーと) ・内容:過去の水害と北上川流域の気象の関係、一関遊水地の役割・運用、建設に至る過程、大雨時の情報収集方法とハザードマップの活用について |
E「食糧生産・地域振興」 | 【地理総合「食料生産について考えよう」p.178~179】 ・場所:館が森Ark(旧:館が森アーク牧場) ・内容:循環型農業と6次産業化、地域の障がい者雇用の取り組み、ファームマーケット構想と地域振興について |
【野外巡検の様子】
A「地域・生活環境」コース
B「食生活・栄養・地域資源」コース
C「地震・防災」コース
D「治水・防災」コース
E「食糧生産・地域振興」コース
【午後の取り組みの様子】
【生徒の感想】
- スプレー缶の穴の確認作業など、手作業で行われていることが他にもたくさんあって、機械に任せられないものかと思ったが、スプレー缶の例だと爆発してしまうことがあると知って、難しい問題だと感じた。また、処分場に持ち込まれたまだ使えそうなものを修理して安く売っていたり、焼却で発生した熱を施設内の暖房に使用していたりすることに驚き、資源化できるものを極力資源化する姿勢に感心させらた。これから生活していく上で、ごみ出しのルールを守ったり、少しでもゴミを出さない暮らしをしたりしようとして、暮らしを見つめ直してみることが大切だと感じたので、まずは自分の生活している環境に着目したい。(A「地域・生活環境」コース)
- 搾油方法や搾油に使う道具を昔と同じ形式で継承しながら使っているということや、地域と連携してさまざまな種類の油を作っているということを知り、歴史、地域の結びつきがとても強いと感じた。また、ムダを出さない循環サイクルの話の中の「栽培の行程で出たものの一部は、燃料として自動車などに利用することもできる」という内容がとても印象に残った。私たちが普段使っている油が製造工程の中でさまざまな工夫をしながら環境保全に取り組んでいるということにとても驚いた。(B「食生活・栄養・地域資源」コース)
- 祭畤大橋は二度見に行ったことがあったが、断層や褶曲の話を聞いた後に見に行くとすごく見方が変わった。前までは、「地震は危険だから気をつけよう」という結論で終わっていたのが、「この橋はどのようなことが原因で壊れたのか」という根拠を考える見方へと変わった。これからの自然現象は、なぜ起こったのかという根拠を追究し、それを防ぐためにはどうするべきかを考えることが大切だと思った。(C「地震・防災」コース)
- 私は、SSHで少し北上川の五大ダムについて学んでいたため、予習した形でフィールドワークに参加した。自分の知識を結びつけて回るのは、すごく楽しかった。また今回は、あまり予習をしていなかった遊水地についての話を聞いた。小学生のころ何度も聞いた話で知っていることも多かったが、今話を聞くのとでは理解度が全然違った。小さいころ聞いてあまり興味のなかったものでも、今聞くと全く違う世界が広がっているかもしれないことに気づいた。印象に残ったことは、世界中が一関の遊水地事業に興味を持っていることだ。そこまですごいことが身近で行われていたとは驚きだ。(D「治水・防災」コース)
- 農業の役割は、人々に食料を提供するだけではないと感じた。就労者の積極的受け入れや6次産業、循環農業の試みを行うことで、社会的問題に対して解決策を提示できることを学んだ。農業にはさまざま工夫できる点があり、それを通して社会に貢献できるのは大きな意味を持つと思う。農業だけに限らず、他のいろいろな産業においても、工夫できるところを工夫することで社会的問題を解決できると思った。(E「食料生産・地域振興」コース)